中性脂肪が基準値よりも高い状態は肥満に繋がりやすく注意が必要な状態であることはよく知られていますが、低すぎる場合も病気や体調不良の原因になることがあるため、注意が必要です。
中性脂肪とは
中性脂肪は体が活動するためのエネルギー源になる物質です。多くは食事から摂取され、日頃の食事が体内の中性脂肪の量に影響します。エネルギーが余ると内臓脂肪や皮下脂肪として蓄積され、肥満のリスクが高まりますので、中性脂肪の値が高い状態は健康に良くないといわれます。しかし中性脂肪は低すぎる場合も様々な問題を引き起こします。中性脂肪には臓器を保護して体温を保ち、ビタミンAやその他の脂溶性ビタミンの吸収を助けるなどの重要な働きがあります。体内の中性脂肪が少なすぎると、これらの機能が阻害される可能性があります。
中性脂肪が低くなる原因
中性脂肪の値が低くなる要因として多いのは、極端なダイエットなどによるエネルギー不足です。特に女性は、日々の食事の量を過度に減らしたり、脂質や糖質を制限しすぎたりすることが多く、それによってエネルギーの消費量と摂取量のバランスが崩れて中性脂肪の値が必要以上に低下します。
また、偏食で栄養不足に陥っている場合や遺伝的な要因がある場合も、中性脂肪の値が低くなりやすくなります。さらに、体質的に脂肪の蓄積量が少なければ、わずかな運動量でもエネルギー不足に陥ってしまうため、疲れやすい傾向にあります。
中性脂肪が低い場合に疑われる疾患
甲状腺機能亢進症
中性脂肪の値が低下する疾患のひとつに甲状腺機能亢進症という自己免疫疾患があり、代表的なものがバセドウ病です。
バセドウ病では、全身の新陳代謝を活発にするホルモンが甲状腺から多量に分泌されます。これにより体重が急激に減ることがあります。また、バセドウ病を発症すると、中性脂肪やコレステロールを体内に蓄積できなくなっていきます。稀に遊離脂肪酸とブドウ糖から中性脂肪を合成する肝臓の機能が低下して、中性脂肪の合成が妨げられることがあります。
脂肪吸収障害
腸の手術や腸内の異常が原因で脂肪を適切に吸収できなくなると、中性脂肪の量も減少する場合があります。
遺伝性脂質異常症
脂質の代謝に関与する遺伝子に変異があり、中性脂肪の量が減少する例が稀に見られます。
慢性肝疾患
肝臓は脂質を合成する働きを持つため、肝臓に慢性疾患があると中性脂肪の量が減少します。
中性脂肪が低い時の対処法
体内の中性脂肪の量は食生活に左右されるため、中性脂肪の値が正常値から外れる場合は、高すぎても低すぎても生活習慣の改善が必要です。低中性脂肪血症の場合、原因の多くは栄養不良です。この場合、炭水化物、脂質、タンパク質をバランス良く摂取することで必要な中性脂肪を取り込むことができます。
中性脂肪の値が低くても、単に脂肪の摂取量を増やせば良いというわけではありません。重要なのは、栄養のバランスを考えた規則正しい食生活です。倦怠感や疲労感がある場合はエネルギー不足も考えられますので、パンやご飯などの炭水化物もきちんと取り入れることが必要です。
中性脂肪が低いと言われたら当院までご相談ください
中性脂肪の値が29以下になると、低中性脂肪血症と診断されます。中性脂肪が少ないことが、だるさや疲れやすさの原因になっている可能性もありますし、疾患が原因となっていることも考えられます。
検査結果が正常値から外れていた方は、まずは一度当院までご相談ください。